Top>研究開発内容>簡易な実装でシャープな界面を移流するTHINC/AWLIC法の開発

簡易な実装でシャープな界面を移流するTHINC/AWLIC法の開発

気液二相流解析において、界面を高精度に追跡することは重要であり、VOF法に基づく界面捕捉スキームが広く用いられています。特に、PLIC法に代表される幾何学的手法は高い精度を有する一方で、三次元実装の複雑さが課題となっています。一方、THINC法やTHINC/WLIC法は、幾何再構成を必要としない簡潔なアルゴリズムにより広く利用されていますが、界面の歪みや数値拡散といった課題が残されています。
本研究では、既存のTHINC系スキームにおける「界面形状の再現性(幾何精度)」と「界面の鋭さ(シャープネス)」のトレードオフ関係を定量的に評価し、その原因を明らかにしました。さらに、このトレードオフを解消するために、新たな重み関数を導入したTHINC/Advanced WLIC(THINC/AWLIC)法を開発しました。
提案手法では、界面法線方向に基づいて一次風上スキームとTHINCスキームの寄与を連続的に制御することで、不要な数値拡散を抑制しつつ、界面形状の正確な輸送を実現します。特に、制御パラメータを適切に設定することで、従来のTHINC/WLIC法に比べて界面のシャープネスが大幅に向上し、かつ幾何精度も維持されることを確認しました。
2次元および3次元のベンチマーク問題や複雑な流れ場における検証により、提案手法は従来手法に比べて優れた界面捕捉性能を示し、PLIC法に匹敵する精度を、はるかに簡易な実装で実現できることを示しました。さらに、実際の多相流シミュレーションへの適用においても、その有効性を確認しています。
本研究は、高精度かつ実装容易な界面捕捉スキームの実現により、大規模工学システムへのCFD適用を加速する基盤技術を提供するものです。

THINC/AWLIC法における界面捕捉の概念図

参考:T. Fukuda et al. (2025) Development of a new THINC/WLIC method based on a separate evaluation of the geometrical fidelity and the interface sharpness, Journal of Computational Physics