Top>研究開発内容>大規模沸騰流計算のための簡易沸騰モデルの開発

大規模沸騰流計算のための簡易沸騰モデルの開発

原子炉燃料集合体内における沸騰二相流の高精度評価には、気液界面を直接追跡可能なVOF法に基づく詳細数値解析が有効です。しかし、沸騰の初生過程を直接再現するためには数μmオーダーの極めて細かい計算格子が必要となり、大規模体系への適用は計算コストの観点から現実的ではありません。
本研究では、大規模な沸騰流動場の解析を可能とするため、簡易沸騰モデル(Simplified Boiling Model: SBM)を開発しました。SBMでは、気泡の成長および離脱挙動を支配する物理モデル(気泡成長式および力学的釣り合い)を解くことで、格子スケール以下の沸騰挙動をモデル化し、その結果を加熱面境界条件(蒸気吹き出し)として数値解析に組み込みます。
また、加熱面における熱収支に基づき気泡発生数を決定し、気泡の発生位置はランダムに与えることで、実際の沸騰現象に近い不均一な気泡挙動を再現しています。これにより、サブミリメートルスケールの格子でも、ミリメートル以上の気泡挙動を合理的に扱うことが可能となります。
開発したモデルをVOF法ベースのCFDコード(JUPITER)に実装し、強制対流沸騰場の数値解析を実施しました。その結果、気泡通過周期や流速・熱流束依存性について、実験結果と良好な一致を示し、本モデルが大規模沸騰流解析に有効であることを確認しました。
本研究により、計算コストを大幅に抑制しつつ、沸騰二相流の本質的な挙動を再現可能な数値解析手法を提案しました。

簡易沸騰モデル(SBM)による気泡生成のモデル化概念

モデル適用時のJUPITERシミュレーションの様子

参考:Ayako Ono et al. (2024) Development of a simplified boiling model applied for large-scale detailed two-phase flow simulations based on the VOF method, Mechanical Engineering Journal