中性子輸送計算の高度化手法の提案

中性子の輸送現象をより精度良く取り扱うための方策についての研究を実施しています。

核分裂により生じる中性子のエネルギー分布は核分裂を発生させた中性子のエネルギーに依存します。一般の中性子輸送計算では、それを近似的に取り扱います。我々の研究グループでは、その核分裂スペクトルの入射中性子エネルギー依存性を陽に扱った計算を実現し、通常の近似手法の妥当性を定量的に評価しました[1]。

中性子反射体として鉄を利用した小型の高速炉では、鉄反射体における中性子の輸送の取り扱いが重要となります。そのため、数値計算において中性子のエネルギー依存性を詳細に取り扱う必要性が指摘されていますが、それは計算負荷の増大に直結し、炉心設計等において現実的ではありません。そこで、我々の研究グループではサブグループ法と離散座標法という手法を組み合わせた方法を提案しました。なお、この方法では計算負荷はそれほど増大することはありません。図1に5つの体系の実効増倍率の比較を示しますが、提案した方法で参照解を良好に再現することが分かります。

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図1 計算手法による鉄反射体付小型高速炉の中性子増倍率の予測精度比較[2]

上で挙げたもの以外にも、中性子源が局在している体系の中性子輸送計算で現れることのある「射線効果」を低減するための手法「多段階離散座標法」の提案、原子炉の中性子輸送計算に必要となる多群ライブラリの精度を向上させる方策の提案なども行っています。

参考文献

[1] G. Chiba, “Criticality calculations with fission spectrum matrix,” JAEA-Conf 2009-004, p.107 (2009).

[2] G. Chiba, Y. Nagaya, “Impact of incident energy dependence of prompt fission neutron spectra on uncertainty analyses,” J. Nucl. Sci. Technol., 46, No.10, pp.1000-1003 (2009).