バックエンド分野における核データニーズの抽出

使用済み核燃料に含まれる核分裂生成物の量を正確に把握することは重要です。そのために必要となる情報を抽出するツールを開発し、効率的な研究開発を可能としました。

ウラン、プルトニウムといった核燃料物質は、核分裂反応を起こすと核分裂生成物(Fission products, FP)と呼ばれる核種を生成します。一般に、使用済み核燃料の貯蔵を考える場合には、こういったFP核種が核燃料に含まれないと仮定して、臨界にならないようにします。しかし、FP核種というのは中性子を吸収し易い核種なので、実際には臨界にならないための余裕を大きく取っていることになります。もし核燃料中のFP核種の量を正確に把握できるのならば、FP核種の存在を考慮することにより、使用済み核燃料のより合理的な貯蔵が可能になります。

図1はFP核種のひとつであるガドリニウム155(Gd-155)が生成される流れを示しています。矢印は核崩壊や中性子捕獲により核種が転換していくことを意味しています。例えば核分裂で発生したPm-151は、Sm-152やEu-153等を経ながら、最終的にGd-155に転換することが分かります。

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図1 中性子捕獲反応とβ崩壊によるGd-155の生成[1

このように複雑な経路で生成されるFP核種について、その生成量をより良く予測するためには、どの核種の核反応データが重要かを特定することが必要になります。そこで、我々の研究グループでは、一般化摂動論と呼ばれる理論に基づく計算プログラムを開発し、重要な核種と核反応データの特定を行えるようにしました。

図2は使用済み核燃料中のGd-155の量を正確に知るためには、どの核種の核反応データが重要かを示しています。これより、Gd-155自身ではなく、Eu-153やEu-155といった核種の核反応データが重要であることが分かります。このような情報を核データの測定、評価の研究チームに供給することにより、効果的な研究が実現されることになります。

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図2 Gd-155の生成量に対する捕獲断面積感度[1]

参考文献

[1] G.Chiba, K. Okumura, et al.,“Sensitivity analysis of fission product concentrations for light water reactor burned fuel,” J. Nucl. Sci. Technol., 47, 652-660, 2010.