SRAC2006: 統合核計算コードシステムの開発

SRAC2006は様々なタイプの原子炉の炉心解析に適用できる核計算コードシステムSRACの最新版です。1986年にSRACシステムの第2版利用手引き(JAERI-1302)が出版された後、多くの機能拡張や不具合の修正、ライブラリデータの追加と修正を行い、統合核計算コードシステムとして完成しました。このシステムは、世界の主要な核データライブラリ(JENDL-3.3、 JENDL-3.2、ENDF/B-VII.0、ENDF/B-VI.8、JEFF-3.1、JEF-2.2)と、中性子輸送及び拡散計算のための統合された5つの要素コードを含んでいます。それらは、16種類の燃料格子形状に適用できる衝突確率法に基づくPIJコード、Sn法輸送計算コードANISN(1次元)及びTWOTRAN(2次元)、拡散計算コードTUD(1次元)及びCITATION(多次元)です。また、SRAC2006の公開パッケージには、高速な3次元(X-Y-Z)拡散ノード法コードMOSRA-Lightの他、JAEAの研究炉(JRR)や照射炉(JMTR)の炉心燃焼管理に利用されてきた多次元炉心燃焼計算コードCOREBNの最新版(COREBN2006)が含まれています。

1. SRACの構成と機能概要

SRAC2006は、SRACライブラリ、SRAC本体コード、COREBN等の補助コードにより構成されます(図1)。

../_images/srac2006_fig1.gif

図1 SRAC2006システムの構成

SRAC本体は幾つかの要素コードを統合したコードで、衝突確率法に基づくPIJコード、Sn法輸送計算コードANISN(1次元)及びTWOTRAN(2次元)、拡散計算コードTUD(1次元)及びCITATION(多次元)を組み込んでいます。SRACの中核的なコードであるPIJは、図2のような多種多様な原子炉の燃料並び(燃料格子)に対し、詳細な中性子スペクトルを計算し、引き続き行う炉心計算のための均質化縮約断面積を作成します。

../_images/srac2006_fig2.gif

図2 SRAC2006のPIJで利用できる燃料格子タイプ

../_images/srac2006_fig3.gif

図3 ANISN, TWOTRAN, TUD, CITATIONで利用できる原子炉の座標系

この他、共鳴計算、核種生成崩壊計算、反応率計算などの豊富なオプションを有し、上記モジュールと組み合わせて、さまざまな固定源問題および固有値問題を解くことができます。共鳴計算では、NR近似、IR近似を扱えるほか、最高19500群の共鳴領域断面積を使用する超詳細群衝突確率法ルーチン(PEACO)により、正確な実効微視的断面積を直接計算することができます(図4参照)。

../_images/srac2006_fig4.gif

図4 PEACOにより得られる超詳細群スペクトル

核種崩壊生成計算では、PIJやPEACOによるスペクトル計算に基づき、実効微視的断面積を燃焼ステップ毎に更新して解析的な手法により燃料組成の燃焼変化を計算します。SRAC2006では、核特性のみならず、照射後試験解析やバックエンド分野で重要となる核種のインベントリ評価にも使える新しい燃焼チェーンデータを導入しました。図5はその一例ですが、さらに詳細なモデルも含め、ユーザーは炉型や用途に応じて最適なものを選ぶことができます。

../_images/srac2006_fig5.gif

図5 SRAC2006の核分裂生成核種用の燃焼チェーンモデルの一例

2. SRACライブラリ

SRAC2006の107群断面積ライブラリは、日本のJENDLをはじめとして、欧州のJEFF(またはJEF)、米国のENDF/Bといった世界の主要な評価済み核データライブラリに基づいて作成しております。具体的には以下のライブラリデータが利用できます。

これらの断面積データは「PDSファイル」と呼ばれる形式で格納してあります。これにより、ユーザーが核データファイルの優先順位をつけて複数のライブラリを結合したり、特定核種の核データを差し替えたりすることもできます。熱群の断面積ライブラリは、熱中性子散乱断面積を300Kから1500Kまでの最高11の温度点に対して用意しています。また、高速群のライブラリは温度依存の自己遮蔽因子データを収納しています。SRACでは、ユーザーが指定する物質温度に対し、熱中性子散乱断面積と自己遮蔽因子の温度内挿を行います。また、PEACOオプションを使用する場合には、コードの内部で指定温度の超詳細群断面積を作成します。こららの機能により、ユーザーは物質温度を指定するだけで、任意温度の断面積を利用することができます。

3. 炉心燃焼計算コード(COREBN2006)

COREBN2006は、多次元拡散計算と巨視的断面積内挿法に基づく炉心燃焼計算コードCOREBNの最新版です。形状汎用性が高いCITATIONコードをベースに開発したもので、図3で示した12種類の炉心形状に対し燃焼計算することができます。断面積はあらかじめSRAC本体の格子燃焼計算オプションで作成した少数群巨視的断面積を、燃料温度、減速材温度、ボイド率、ボロン濃度などの任意の2変数と、燃焼度に対して3次元内挿を行います。COREBNは、図6のように燃料シャッフリングを模擬することもでき、研究炉や照射炉の炉心燃焼管理や設計変更などに多くの実績があります。

../_images/srac2006_fig6.jpg

図6 燃料シャッフリングを模擬する炉心燃焼計算の例

4. 参考文献(利用マニュアル)

SRAC及びCOREBNの利用者は以下の文献を引用願います。

  • Keisuke OKUMURA, Teruhiko KUGO, Kunio KANEKO and Keichiro TSUCHIHASH, "SRAC2006 : A Comprehensive Neutronics Calculation Code System, " JAEA-Data/Code 2007-004 (2007).
  • Keisuke OKUMURA, "COREBN : A Core Burn-up Calculation Module for SRAC2006," JAEA-Data/Code 2007-003 (2007).
  • 奥村啓介、金子邦男、土橋敬一郎、「SRAC95;汎用核計算コードシステム」JAERI-Data/Code 96-015 (1996).

5. コードの入手方法

SRAC2006(COREBN2006を含む)はJAEA所外利用コード(無償)として登録済みです。入手については、原子力機構外の方は (財)高度情報科学技術研究機構(RIST) にお申し込みください。コードは無償ですが、別途RISTの手数料が掛かります。原子力機構内の方は、JAEAプログラム等検索システム PRODASのサイト からプログラム等利用申込書をダウンロードしてシステム計算科学センターに申し込んでください。